前回は、Uber Eatsが現在も断熱素材の配達バッグを原則必須としていないことについて書きました。
食品を運ぶ仕事なのだから、Uber純正品でなくてもいい。メットインでもリアボックスでもいい。
ただし、保温・保冷・固定ができる食品配送設備くらいは必須にした方がいい。
これが私の考えです。
ところが、バッグを必須化すれば話が終わるかというと、そうではありません。
むしろ次の問題があります。
そのバッグ、本当に食品を入れて大丈夫な状態でしょうか。
「バッグ持っています」で終わらせてはいけない
フードデリバリーをやっていると、いろいろな配達バッグを見ます。
新品同様のきれいなバッグ。
毎日の稼働で多少使用感はあるものの、きちんと手入れされているバッグ。
ここまでは何も問題ありません。
しかし中には、
- 表面が大きく剥げている
- 角が擦れて破れている
- 断熱材が見えている
- ファスナーがまともに閉まらない
- 内部に汁漏れ跡が残っている
- 油汚れが付着している
- 臭いが残っている
- いつ清掃したのか分からない状態
というバッグもあります。
配達員である私自身、注文する側でもUber Eatsを利用します。
客として見れば、
「その中に俺の飯を入れてきたのか?」
と思うようなバッグで来られたら、普通に嫌です。
外側がボロボロだから即「不衛生」ではない
ただし、ここは雑に決めつけたくありません。
バッグ表面のプリントが剥がれている。
外装に擦り傷がある。
それだけで中まで不衛生だとは断定できません。
毎日何時間も使う業務用品です。
雨にも当たる。
原付なら風も受ける。
積み下ろしも何百回、何千回と行う。
多少傷むのは当たり前です。
問題は、
「古いこと」ではなく「管理されていないこと」です。
外装が多少傷んでいても、内部が清潔で、断熱性能が残り、きちんと閉じられ、商品を安全に固定できるのであれば話は違います。
逆に外側だけピカピカでも、中が汁まみれなら意味がありません。
本当に怖いのはバッグ内部だ
フードデリバリーのバッグには、毎日さまざまな料理が入ります。
ラーメン。
カレー。
中華。
焼肉。
寿司。
コーヒー。
ジュース。
そして配達を続けていれば、汁漏れや容器からの結露が一度も起きないとは言えません。
問題はその後です。
汁が漏れた。
拭いた。
はい終了。
これを繰り返せば、バッグの隅や仕切り、底面などに汚れが残ります。
臭いも残る。
それを翌日、別の客の料理へ使う。
食品配送用の道具なら、ここを管理しなければ意味がありません。
「食品には直接触れていないから大丈夫」でもない
もちろん通常のフードデリバリーでは、料理は容器や袋へ入れられています。
バッグの内側へ唐揚げを直接放り込んでいるわけではありません。
しかしだからといって、配送設備を汚れたまま使っていい理由にはなりません。
厚生労働省もテイクアウト・デリバリーでは、食品の温度管理など通常の衛生管理を徹底するよう注意を促しています。
食品を入れるスペースそのものを清潔に維持することは、それ以前の基本でしょう。
Uber自身も「清潔で手入れされたバッグ」という考え方は持っている
興味深いのはここです。
Uberの日本向け一般案内では、断熱素材の配達バッグは現在も原則必須ではありません。Uber自身も、食品安全や適切な取り扱いのためバッグ使用を勧めながら、必須ではないと説明しています。
しかしUber Helpには、バッグ確認が必要な地域向けの案内も存在します。
そこでは認定対象となるバッグについて、断熱性能だけでなく、清潔で良好に管理され、衛生・安全上問題になるほど破損していないことまで条件として挙げています。
さらに写真を提出してバッグを確認する運用まで存在します。
つまりUber自身、
「バッグなら何でもいいわけではない」
という発想をすでに持っているのです。
だったら日本でも、その考え方をもっと取り入れればいいのではないでしょうか。
バッグを半年に一度くらい確認してもいい
私は難しい制度を作れと言っているわけではありません。
例えば半年に一度。
Uberのアプリから、
- バッグ外側
- バッグ内部
- 底面
- 断熱材
- ファスナーなど開閉部分
が分かる写真を提出する。
それだけでも違います。
メットインを配送設備として利用している人なら、食品用スペースの状態を撮影すればいい。
リアボックスなら内部を撮影する。
Uber純正バッグかどうかなんて関係ありません。
見るべきなのはブランドではなく状態です。
交換基準も作ればいい
何年間使ったら必ず交換、という単純なルールにする必要はありません。
1年でボロボロになる人もいれば、数年間きれいに使える人もいるでしょう。
ならば状態で判断すればいい。
例えば、
- 内部に清掃しても取れない著しい汚れがある
- 強い臭いが残る
- カビなど衛生上の問題がある
- 断熱材が大きく破損している
- バッグを完全に閉じられない
- 商品を安全に固定できない
- 底面が破れ、食品配送設備として機能しない
こうなったら交換。
当たり前の話です。
清掃も「気が向いたら」ではなく仕事の一部だ
私は配達設備をきちんと拭きます。
必要に応じて適切に消毒もします。
メットインを配達用に使うときも、底には保温バッグを入れ、プチプチなどで商品が動かないよう工夫しています。
そして汚れれば清掃する。
プチプチなど交換できる物なら交換する。
別に特別なことではありません。
食品を運んで金をもらうなら、道具を手入れするところまで仕事です。
タクシーなら車内を掃除する。
飲食店なら厨房を掃除する。
美容師なら道具を手入れする。
配送業なら車両を整備する。
フードデリバリーだけ、バッグの管理は本人の気分次第でいいという理由はないでしょう。
Uber公式も配達員の「固定する工夫」を紹介している
Uberは過去に、現役配達パートナーが商品の揺れを防ぐため、タオル、エアークッション、緩衝材、スポンジなどでバッグ内部の隙間を埋めている例を紹介しています。
これはまさに現場では重要です。
バッグという箱を買っただけでは配達品質は完成しません。
容器が傾かないようにする。
ドリンクを固定する。
温かい物と冷たい物を必要に応じて分ける。
内部を清潔にする。
その積み重ねです。
汚いバッグは「その配達員だけ」の問題ではなくなる
そしてここが今回、一番言いたいところです。
注文者は配達員個人だけを見ていません。
汚れたバッグを持った人間がUber Eatsの商品を届けてくれば、
「Uberの配達員って汚いな」
となります。
一人の問題がブランド全体へ飛び火する。
今回のロケットナウ騒動を見れば、それはもう分かるでしょう。
疑惑を持たれた一部の配達員の動画から、フードデリバリー配達員全体へ「不潔」「不衛生」という批判が一気に広がった。
だからプラットフォームも、
「個人事業主が自分で用意したバッグなので知りません」
では済まなくなってきています。
まともな配達員ほど、バッグ確認を嫌がる必要はない
ここで、
「そんな写真提出までさせたら配達員への締め付けだ」
という声も出るかもしれません。
私はそう思いません。
半年に一度、自分が毎日使っている食品配送設備の写真を撮る。
それで汚れていれば掃除する。
壊れていれば交換する。
まともにやっている人にとって、そこまで大きな負担でしょうか。
むしろ、
何年もバッグを清潔に保っている配達員と、汁だらけのバッグを使い続ける配達員を同じ扱いにしないでほしい。
私はそちらの方が重要だと思います。
バッグは配達員の「仕事道具」だ
フードデリバリーは簡単に始められる仕事です。
だからこそ忘れられがちですが、配達バッグはただの荷物入れではありません。
客の食事を預かる仕事道具です。
汚れれば掃除する。
濡れれば乾かす。
臭いが残れば対処する。
壊れれば直す。
直せないなら交換する。
これくらいはプロでも何でもない。
仕事をする人間として最低限でしょう。
Uber Eatsへ――バッグ必須化の次は「清潔基準」を作ってほしい
前回は、食品配送設備を必須にしてほしいと書きました。
今回はその次です。
持っているだけで終わらせないでください。
断熱性能が残っている。
清潔である。
破損していない。
きちんと閉じられる。
商品を安定して運べる。
食品配送設備として最低限このくらいは確認する。
Uber自身、海外等のバッグ認定プロセスでは「清潔で良好に管理された状態」という考え方をすでに採用しています。
ならば日本でも難しい話ではないはずです。
バッグ必須。
そしてバッグを清潔に維持することも必須。
食品を扱うサービスなら、私はこのくらい当然だと思います。
次回はバッグから配達員本人へ移ります。
「食品を届けに来る人間の服装・臭い・爪・髪――どこまでが自由で、どこからが清潔感の問題なのか」
フードデリバリーの「身だしなみ」を考えます。



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