ロケットナウ騒動で「フーデリ配達員は不潔」の大合唱――その批判、残念ながら一部は正しい

ロケットナウのつまみ食い疑惑をきっかけに、フードデリバリー配達員の衛生問題とUber Eatsなどプラットフォームの管理責任を考える記事のイメージ フードデリバリー

これは、フードデリバリー配達員を擁護する記事ではありません。

むしろ逆です。

いい加減、まともに配達してくれ。

現役配達員として、そしてUber Eatsを注文する側として約7年間使ってきた利用者として、今回はそこから話を始めたいと思います。

ロケットナウ「つまみ食い」疑惑動画が投げ込んだ爆弾

2026年8月、Rocket Now(ロケットナウ)の配達員が、配送中の商品を無断で飲食しているのではないか――そんな疑惑を招く動画がSNS上で拡散しました。

ロケットナウは8月17日、動画を認識しており「事実関係の確認を進めている」と表明。仮にドライバーによる配送中の商品への無断飲食や窃取が確認された場合は容認せず、事実関係が明らかになり次第、厳正に対処するとしています。

したがって、本稿執筆時点で動画の行為を「客の商品を食べた」と断定することはできません。そこは明確にしておきます。

しかし、この騒動でもう一つ起きたことがあります。

Yahoo!ニュースのコメント欄などで、ここぞとばかりにフードデリバリー配達員全体への批判が噴き出したことです。

「不潔」

「不衛生」

「頭が悪い」

「こんな人間に食べ物を運ばせたくない」

中には「キチガイ」といった、もはや配達とは関係のない罵倒まで飛び交います。

配達員側からすれば「一部の人間を見て全員を一括りにするな」と言いたくなるでしょう。

それはその通り。

ですが私は、その前に言いたいことがあります。

残念ながら、本当に酷い配達員もいます。

「配達員は不潔じゃない!」とは私は言えない

街でフードデリバリー配達員を見ていれば、いろいろな人がいます。

清潔なバッグを使い、商品が傾かないように固定し、店舗で受け取った料理を丁寧に運んでいる人。

その一方で、

  • 表面が剥げてボロボロになったバッグ
  • 何年使っているのか分からない汚れたバッグ
  • そもそも保温バッグを持っていない
  • 店から受け取った袋をそのままぶら下げる
  • 原付の足元へ置き、足で押さえて運ぶ
  • 温かい料理を冬の外気へさらしたまま走る

こういう配達員も実際にいます。

ですから、私は「フーデリ配達員は全員清潔です」なんて綺麗事を書くつもりはありません。

汚いものは汚い。

自分が注文者なら、ボロボロで内部がどうなっているか分からないバッグに夕食を入れて持ってこられれば普通に嫌です。

食品を扱う仕事なのですから、客が衛生面を気にするのは当然でしょう。

厚生労働省もテイクアウト・デリバリーについて、保冷剤やクーラーボックスなどの活用、食品の適切な温度管理を注意点として挙げています。食品配送では「どう運ぶか」が品質と衛生に関係するのです。

しかし、そこで配達員を罵倒して終わるのも違う

ではYahoo!コメントで、

「配達員は汚い」

「フーデリなんて使う奴が悪い」

と書いて終われば問題は解決するのでしょうか。

しません。

むしろ問うべきなのは、

なぜ食品をまともに運ぶ設備すら持っていない人間が、普通に配達できる仕組みになっているのか。

ということです。

ここからは配達員個人だけではなく、プラットフォーム側の問題になります。

最大手級のUber Eatsには、まずしっかりしてもらいたい

日本でフードデリバリーを語るうえで、Uber Eatsを外すことはできません。

だからこそ最初にUberへ言いたい。

食品配送の品質管理を、もう少し本気で考えませんか。

象徴的なのが配達バッグです。

現在のUber公式ガイドラインでは、断熱素材の配達バッグについて利用を推奨している一方、法律によって義務付けられている地域を除いて「必須ではない」としています。

私はここが理解できません。

食品ですよ。

書類でも服でもなく、ラーメン、寿司、弁当、ピザ、アイスクリームを運ぶサービスです。

それなのに、断熱された食品配送設備を必須条件にしていない。

だからバッグを持たず、袋をぶら下げたり、足元へ置いたりする配達員が入ってくる余地が残ります。

ちなみに出前館は、現在の業務委託配達員募集ページで配達に必要なものとして「商品を入れる保温バッグ」を明記しています。

ここは第2回で徹底的に掘ります。

本人確認をしているだけでは「良い配達員」にはならない

もちろんUberも、誰なのか全く分からない人間を無条件で稼働させているわけではありません。

現在も配達方法に応じてプロフィール写真、身分証明書、原付なら運転免許証、ナンバープレート、自賠責保険証などの提出を求めています。

さらに店舗や注文者による評価制度があり、直近100件の評価から総合評価が算出されます。評価が改善しない場合には、アプリへのアクセスが停止される可能性もあります。

しかし、ここで考えてほしい。

本人であることを確認できた。

それと、

その人間に客の食事を安心して任せられる。

これは同じではありません。

私は注文者としても、配達品質の変化を感じている

私はUber Eatsを注文する側としても約7年間使っています。

昔は普通に届いていた。

ところが最近、別のマンションへ置き配されることが出てきました。

しかも一度ではなく、連続です。

住所だけではなくマンション名まで表示されているのに、それを確認しない。あるいは確認しようともしない。

冷たい商品を注文したら温かくなって届く。

温かい料理なら冷たくなっている。

ピザを注文したのに、保温バッグそのものを持っていない配達員が来る。

私は配達員だから事情は分かります。

それでも注文者になれば、

「いや、それは駄目だろ」

と思います。

「業務委託だから」で品質まで本人任せにしていいのか

フードデリバリーは、業務委託の配達員を大量に活用することで成立してきました。

これは非常に効率のいい仕組みです。

配達員は好きな時間に働ける。

プラットフォームは必要な時間帯に大量の労働力を確保できる。

だからサービスは急速に成長しました。

しかし、サービスがこれだけ社会へ定着した今、

「個人事業主だから、あとは本人次第」

という考え方では限界が来ているのではないでしょうか。

客はUber Eatsのアプリで注文しています。

料理が違うマンションへ届けば「Uberで誤配された」と思う。

料理が冷たければ「Uberで頼んだら冷たかった」と思う。

汚いバッグを持った人間が来れば「Uberの配達員、大丈夫か?」と思う。

注文者にとって、プラットフォームと業務委託契約の細かい構造なんて関係ありません。

最後に玄関へ届いた状態までが、そのサービスの評価です。

ロケットナウも「規約があります」だけでは済まなくなる

ロケットナウのドライバー規約を見ると、登録後の安全教育や、配達に必要な安全装備・保温装備について規定されています。配達バッグや配達ボックスについても、断熱性・防水性に優れたものを推奨しています。

つまり各プラットフォームとも、ルール自体を全く持っていないわけではありません。

問題は、

そのルールによって実際の現場品質をどこまで担保できているのか。

です。

今回のロケットナウ動画が仮に事実だった場合、「当該ドライバーを利用停止にしました」で終わるだけでは弱いでしょう。

なぜ起きたのか。

どうすれば次を防げるのか。

店舗の封印方法は十分か。

配送設備は適切か。

問題のある配達員を早期に発見する仕組みはあるのか。

そこまで考える必要があります。

そろそろ「誰でも配達員」の次へ進むべきではないか

そして、このシリーズで最終的に一番考えたいのがここです。

もうそろそろ、配達員を厳選してもいいのではないでしょうか。

入口を完全に狭くしろ、と言っているわけではありません。

Uberの魅力の一つは、働き始めやすいことです。

しかし、

誰でも始められることと、誰でも同じ評価のまま残り続けられることは別です。

何千件、何万件と誤配も重大事故もほとんどなく、商品をきちんとバッグへ入れ、住所を確認し、普通に配達している人。

一方で、基本的な住所確認すらしない。

食品配送設備も用意しない。

重大なクレームを繰り返す。

その両者を、いつまでも同じ「配達パートナー」として扱う必要があるのでしょうか。

まともな配達員を守るためにも、選別は必要だ

これは配達員を締め付ける話ではありません。

むしろ逆です。

一部の酷い配達員が何かやらかす。

するとYahoo!コメントでは、

「ほら、フーデリは汚い」

「配達員なんて信用できない」

と全員が一緒にされる。

それでは、まともに仕事をしている配達員ほど損をします。

ならばプラットフォームが、

  • 食品配送設備
  • 清潔さ
  • 誤配
  • 商品事故
  • 顧客・店舗評価
  • 本人確認
  • 重大な規約違反
  • 長期間の配達実績

などから、信用できる配達員をきちんと判別すればいい。

そして、長年まともに働いてきた配達員には、その信用を見える形で与える。

「誰でも配達できるサービス」から「まともに配達する人間が残るサービス」へ。

私は、そろそろそこまで進んでもいいと思っています。

Yahoo!コメント民へ――言っていることの一部は分かる。だからこそ、その先を考えよう

汚いバッグで料理を持ってこられたくない。

分かります。

食品を雑に扱う配達員は嫌だ。

それも分かります。

住所すら確認できない人間へ自宅の食事を任せたくない。

注文者なら当然でしょう。

だから、配達員全体を「不潔」「馬鹿」でまとめて終わりにするのではなく、もう一歩先へ進みませんか。

なぜ、そういう配達員が食品配送の現場に残れるのか。

ここを変えない限り、次の問題配達員が出てくるだけです。

そして最大手級のUber Eatsには、業界を引っ張る立場として一番最初に変わってもらいたい。

次回は、その象徴ともいえる問題を扱います。

「食品配送なのに、なぜUber Eatsは配達バッグを必須にしていないのか?」

現役配達員として、これはかなり言いたいことがあります。

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