前回、ロケットナウの騒動をきっかけに広がった「フードデリバリー配達員は不潔」「信用できない」という批判について書きました。
私は現役配達員ですが、無理に配達員を擁護するつもりはありません。
実際、街を走っていれば「それで客の飯を運ぶのか?」と思う配達員を見かけます。
そして今回は、その中でも以前からずっと疑問だったことを書きます。
Uber Eatsさん。
食品配送なのに、なぜ配達バッグを必須にしていないのでしょうか。
- 本当にUber Eatsは配達バッグ必須ではない
- バッグが必須ではないから、本当にバッグなしで走る人がいる
- 冬の温かい料理を外気にさらして運んだらどうなる
- 出前館は「保温バッグ」を必要な物として明記している
- 勘違いしてほしくない。「Uberバッグを背負え」と言っているわけではない
- 私は原付のメットインを配達用に使っている
- 「メットインにはヘルメットや工具を入れたい」なら外へ出せばいい
- 「バッグを背負うと煽られるから嫌」なら別の方法を考えればいい
- 客の商品を守る方法を考えるところまでが配達ではないか
- そして「バッグを持っているだけ」でも合格にはしたくない
- Uberは配送設備も定期的に確認していい
- 食品配送に「何も使わない自由」まで必要なのか
- バッグ必須化は配達員いじめではない
- Uber Eatsへ――まずここから変えてほしい
本当にUber Eatsは配達バッグ必須ではない
念のため現在のUber公式情報を確認しました。
Uber Eatsは、食品の安全性や適切な取り扱いのため断熱素材の配達用バッグを勧めています。
ところが、その直後にはっきりと、Uber Eatsアプリを利用した配達では「断熱素材の配達用バッグの使用は必須ではありません」と説明しています。
別のUber公式ページでも、断熱バッグは注文者の満足度向上に役立つとしながら、法律で義務付けられている地域を除いて必須ではないとしています。
私はここがどうしても理解できません。
運んでいるのは食品です。
書類でもAmazonの箱でもありません。
ラーメン。
寿司。
弁当。
ハンバーガー。
ピザ。
アイス。
それを店から客まで運ぶ仕事です。
ならば、食品配送に適した設備くらいは最低条件にして当然ではないでしょうか。
バッグが必須ではないから、本当にバッグなしで走る人がいる
私は普段から原付で配達しています。
街中で他の配達員も大量に見ます。
そして、本当にいます。
配達バッグを持っていない人。
店から受け取った袋をそのまま車両へぶら下げる人。
原付のステップへ料理を置き、落ちないように足で押さえて走っている人。
ピザをバッグにも入れず、そのまま運んでいる人。
見ているこちらが、
「それ、客の飯だぞ?」
と思います。
配達員本人にとっては10分程度の移動かもしれません。
しかし客はその料理に商品代、サービス料、配送料などを払っています。
「落とさなければいい」ではありません。
冬の温かい料理を外気にさらして運んだらどうなる
真冬の原付は寒い。
配達員なら説明するまでもありません。
その外気へ、温かい料理をレジ袋のままさらして走る。
逆に夏場なら、冷たい商品を高温の環境へさらす。
これで「バッグはなくても構いません」は、食品配送サービスとしてかなり無理があると思います。
厚生労働省もテイクアウト・デリバリーについて、保冷剤、クーラーボックス、冷蔵庫、温蔵庫などを活用し、食品の温度管理を行うよう案内しています。
同省は、調理済み食品について速やかに10℃以下まで冷却するか65℃以上で保管することを示し、20~50℃では食中毒菌が増えやすいと注意喚起しています。
もちろん、短時間の配達をすべて65℃以上、10℃以下に維持できるという単純な話ではありません。
重要なのは、食品配送では温度管理を考えること自体が基本だということです。
外気へむき出しでいい、とはなりません。
出前館は「保温バッグ」を必要な物として明記している
さらに面白いのが出前館です。
現在の出前館公式の業務委託配達員募集ページを見ると、配達に必要な物として、
- 配達車両
- スマートフォン
- 商品を入れる保温バッグ
を明記しています。
FAQでも、配達時に必要なものとして再び「商品を入れる保温バッグ」を挙げています。
つまり、少なくとも出前館は、
「食品を運ぶなら保温バッグを用意してください」
という最低線を引いている。
では、Uber Eatsはなぜそこまでやらないのでしょうか。
日本を代表する規模のフードデリバリープラットフォームです。
ここは出前館より緩くする必要がありますか。
勘違いしてほしくない。「Uberバッグを背負え」と言っているわけではない
ここで必ず、
「あんな巨大なバッグを全員に背負わせるのか」
という話が出てくるでしょう。
違います。
Uber純正バッグなんて必須にしなくていい。
ブランドはどうでもいい。
背負う必要すらない。
必要なのは、
食品を清潔に、保温・保冷し、安定した状態で運べる設備を使うこと。
これだけです。
例えば、
- 一般的な断熱デリバリーバッグ
- 車体固定式の断熱リアボックス
- メットイン+保温バッグ
- メットイン+洗える断熱インナー
こういう方法を認めればいい。
配達員それぞれの車両や体格に合わせて工夫すればいいのです。
私は原付のメットインを配達用に使っている
私は実際にメットインも使っています。
ただし、何でも入っている普通のメットインへ料理をそのまま突っ込むような使い方ではありません。
底には保温バッグを入れています。
プチプチなどの緩衝材も用意しています。
商品によって隙間を埋め、原付の振動で容器が動かないようにする。
汁物や飲料は特に動かないようにする。
使用する場所はきちんと拭く。
必要に応じて消毒する。
緩衝材が汚れれば交換する。
これくらいは食品を運ぶ仕事なら普通に考えます。
「メットインにはヘルメットや工具を入れたい」なら外へ出せばいい
原付を本気でフードデリバリーへ使うのであれば、私は車両自体を配達用に組み替えればいいと思っています。
ヘルメットは駐車時に外へ出して、必要なら車体とチェーンやワイヤーでつなぐ。
財布。
ティッシュ。
鍵。
簡単なドライバーなどの小物。
こういう物はウエストバッグや小型ポーチへ移せばいい。
そうすればメットインを食品配送スペースとして使えます。
本気で原付でフーデリをやるなら、そのくらい車両を仕事向けに最適化してもいいでしょう。
「バッグを背負うと煽られるから嫌」なら別の方法を考えればいい
大きな配達バッグを背負うのが嫌だという人もいるでしょう。
車から目立つ。
風を受ける。
背中が疲れる。
理由はいろいろあるでしょう。
それも分かります。
だったら工夫すればいい。
リアボックスでもいい。
メットインでもいい。
バッグを車体へ固定してもいい。
安全な範囲で積載方法を作ればいい。
「バッグを背負いたくない」から「客の料理をむき出しで運ぶ」へ飛ぶ理由はありません。
客の商品を守る方法を考えるところまでが配達ではないか
フードデリバリーは簡単に始められます。
アプリをオンラインにして、店へ行って、料理を受け取って、客へ持っていく。
表面だけ見れば簡単です。
しかし、まともにやろうとすれば考えることはあります。
ラーメンをどう固定するか。
ドリンクをどう倒さないか。
温かい物と冷たい物をどう分けるか。
大きいピザをどう運ぶか。
汁漏れしたらどう清掃するか。
雨ならどうするか。
夏ならどうするか。
冬ならどうするか。
それを考え、少しずつ自分の車両と装備を改善していく。
私はそこまで含めて配達の仕事だと思っています。
そこまで考える気が一切なく、店から渡された袋を適当に車両へ引っ掛けて運ぶだけなら、食品配送という仕事には向いていないのではないでしょうか。
そして「バッグを持っているだけ」でも合格にはしたくない
ただし、ここでもう一段あります。
バッグを必須化すれば全部解決するわけではありません。
街には、
「それ何年使った?」
と思うようなバッグもあります。
外装が剥げている。
破れている。
中が汚れている。
汁漏れ跡が残っている。
臭いが取れない。
そんな状態なら、バッグを持っているという事実に何の意味があるのでしょうか。
むしろ客から見れば、バッグなしより気持ち悪い場合すらあります。
Uberは配送設備も定期的に確認していい
だから私なら、Uberに求める最低条件はこうです。
1.食品配送に適した断熱設備を必須化する。
2.純正バッグ以外も認める。
3.メットインや固定ボックスも、適切に食品用として整備されていれば認める。
4.バッグや容器が著しく汚損・破損した場合は交換させる。
5.一定期間ごとに配送設備の状態を確認する。
半年に一度程度、バッグやボックスの内部・外部写真をアプリから提出する方式でもいいでしょう。
最新技術なんて必要ありません。
Uberにはすでに本人確認や書類提出の仕組みがあります。
その延長で十分できます。
食品配送に「何も使わない自由」まで必要なのか
Uber Eatsの強みは自由です。
働く時間を選べる。
案件を受けるか選べる。
自転車、原付、自動車などを使える。
その自由を壊す必要はありません。
しかし、自由だからといって、
食品をどう運んでもいいという話にはならない。
客の商品をむき出しにして運ぶ自由。
温度管理を一切考えない自由。
バッグもボックスも何も用意しない自由。
そこまで守る必要がありますか。
私はありません。
バッグ必須化は配達員いじめではない
数千円程度から食品配送用バッグは用意できます。
毎日仕事として使うなら、その程度は事業用設備です。
原付ならメットインやリアボックスを生かせば、さらに選択肢は広がります。
「金がかかるから嫌だ」
「面倒だから嫌だ」
それで客の食事を雑に扱う理由にはなりません。
そして、まともに装備を整えて配達している人間からすれば、最低基準が上がった方がいい。
何も準備していない人間と同じ「Uber Eats配達パートナー」として見られなくて済むからです。
Uber Eatsへ――まずここから変えてほしい
ロケットナウの騒動を受け、フードデリバリー業界には衛生や品質への厳しい目が向けられています。
そのとき最大手級のUber Eatsが、
「断熱バッグはおすすめですが、必須ではありません」
のままでいいのでしょうか。
私はもう変える時期だと思います。
Uber純正バッグを強制しろとは言いません。
背負えとも言いません。
メットインでもいい。
リアボックスでもいい。
自分で購入したバッグでもいい。
ただし一つだけ。
食品を食品らしく運べる設備を必ず用意する。
この最低ラインくらいは作ってください。
配達員の自由を守ることと、配送品質を放棄することは同じではありません。
客から預かった料理をどうやって守るかまで考えられないのであれば、食品配送の仕事をするべきではない。
そして、それを本人任せにするのではなく最低基準として設定することこそ、プラットフォームの仕事ではないでしょうか。
次回はさらに厳しくいきます。
「バッグを持っていればそれでいいのか? ボロボロ・汚れ・臭い――配達バッグの衛生問題」
バッグ必須化の次に必要なのは、バッグそのものの品質管理です。



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