「自分でやれば無料」は本当か?個人事業主が時間単価と機会損失で考えるべき理由

現地確認や資料取得などの現地仕事を自分で行く場合と外注する場合の時間・移動・空振りリスクを比較するアイキャッチ画像 ローカルビジネス

「自分でやれば無料だから、自分でやる。」

個人で仕事をしていると、この判断をかなり使います。

自分で買いに行く。

自分で荷物を取りに行く。

自分で写真を撮る。

自分で書類を取りに行く。

自分でサイトを直す。

自分で梱包する。

自分で経理をする。

確かに、誰かへ払う料金は発生しません。

では、本当に無料でしょうか。

個人事業主には、会社員とは少し違う時間の見方があります。

自分が使った1時間は、その1時間にできた別の仕事と交換されています。

今回は「自分でやれば無料」という考え方を、時間単価と機会損失から考えます。

「現金を払わない」と「無料」は違う

まずここを分けます。

自分で作業すれば、外注費は0円です。

ですが、コストまで0円になるわけではありません。

  • 作業時間
  • 移動時間
  • 待ち時間
  • 交通費
  • 燃料代
  • 駐車場代
  • 調べる時間
  • やり直す時間

そして、もう一つあります。

その時間にできなかった仕事です。

現金が出ていないため見えにくいだけで、自分の時間は確実に消費しています。

個人事業主にとって時間は原価になる

たとえば、普段の仕事で1時間に2,000円の利益を作れるとします。

3時間の雑務を自分でやれば、現金支出は0円かもしれません。

しかし、その3時間を本業へ使えていたなら、6,000円分の仕事ができた可能性があります。

項目金額・時間
雑務に使う時間3時間
自分の時間単価2,000円
時間コスト6,000円
外注した場合仮に3,000円

この条件なら、3,000円払って外へ出し、その3時間で6,000円を作れるなら、数字上は外注した方が残ります。

もちろん、空いた3時間で必ず6,000円稼げるとは限りません。

だから機械的に「全部外注」が正解でもありません。

重要なのは、自分の時間にも値段を付けて比較することです。

配達なら時間コストはかなり分かりやすい

フードデリバリーをやっていると、この考え方はかなり分かりやすくなります。

たとえば、本来なら夜の3時間を稼働に使える。

その3時間を別の用事で潰した。

その場合、「用事にはお金を使わなかった」で終わりではありません。

本来その時間に作れた売上があります。

もちろん毎回同じ売上になるわけではありません。

それでも、自分の過去の平均時給が分かっていれば、時間の大まかな価値は計算できます。

移動するだけの用事は特に時間を食う

自分でやる仕事の中でも、費用対効果が悪くなりやすいのが移動を伴う用事です。

現地で10分の作業でも、

  • 往復1時間
  • 駐車場所を探す10分
  • 待ち時間20分
  • 作業10分

なら、合計1時間40分です。

「10分の仕事」ではありません。

1時間40分拘束される仕事です。

個人事業では、現場で手を動かしている時間ではなく、家や事務所を出て戻るまでの拘束時間を見る方が現実に近くなります。

安く済ませるために自分でやって、逆に損する例

遠い店まで安い商品を買いに行く

500円安い商品を買うために往復1時間。

燃料代まで掛かる。

これでは500円を節約するために、自分の1時間を売っています。

慣れていない作業を何時間も調べながらやる

専門業者なら30分で終わることを、自分で3時間掛けてやる。

これも「自分でやったから0円」とは限りません。

薄利の商品を自分で探し回る

物販でも同じです。

粗利1,500円の商品を探すために2時間使う。

さらに移動費まで掛かる。

数字を出せば、最初から仕入れる価値がない商品だったということもあります。

逆に、自分でやった方がいい仕事も多い

ここで「何でも金を払って外注しろ」という話にすると間違います。

自分でやった方がいい仕事も大量にあります。

  • 自宅の近くですぐ終わる
  • 外注先を探す方が時間が掛かる
  • 説明するより自分でやる方が早い
  • 外注費が高すぎる
  • 自分で経験すること自体に価値がある
  • 本人しか判断できない
  • 将来何度も使う技能なので覚えた方がいい

特に最後は重要です。

最初の1回だけ時間が掛かっても、覚えれば今後何十回も使える作業なら、自分で覚える投資価値があります。

外注費だけで判断すると失敗する

外注には外注のコストがあります。

  • 依頼先を探す
  • 内容を説明する
  • 見積もりを取る
  • 成果物を確認する
  • 修正を依頼する

1,000円で頼めても、指示と確認に1時間掛かるなら、本当に得なのか計算する必要があります。

つまり比較するのは、

自分でやる費用 vs 外注費

だけではありません。

自分でやる総コスト vs 外注する総コスト

です。

判断するときは4つの数字を見る

自分でやるか、人に任せるか。

迷ったら最低限この4つを出します。

  1. 自分でやると何時間掛かるか
  2. 実費はいくら掛かるか
  3. 自分の1時間はいくらなのか
  4. 外注すると総額いくらなのか

たとえば、

  • 作業時間:3時間
  • 時間単価:2,000円
  • 交通費:500円

なら、自分でやるコストを単純化すると6,500円です。

同じ仕事を3,000円で外へ出せて、その3時間を本業へ戻せるなら、外注を検討する余地があります。

休息も「0円の時間」ではない

もう一つ、見落とされやすいものがあります。

休む時間です。

個人事業主は、空いた時間に仕事を入れようと思えばかなり入れられます。

だからといって、睡眠や休息まで削ればいいわけではありません。

疲労が溜まれば、次の仕事の効率が落ちます。

ミスも増えます。

運転や配達なら事故リスクにもつながります。

「空いた3時間で稼げなかったから価値がない」という話でもありません。

必要な休息を確保できるなら、それも時間を買い戻す意味の一つです。

小さな節約より、自分の時間単価を上げる

個人で稼ぐようになると、100円、500円、1,000円を節約することに時間を掛けすぎる場面があります。

もちろん固定費を削ることは重要です。

ですが、毎回1時間掛けて500円節約するなら、時給500円の節約労働をしていることになります。

それなら、その1時間を本業へ使う方がいい場合があります。

見るべきなのは、金額だけではありません。

その金額を得る、または節約するために何時間使ったか。

ここまで含めると判断が変わります。

まとめ:「自分でやれば無料」ではなく「自分でやれば何時間かかるか」

自分でやれば、誰かへの支払いは発生しません。

しかし、自分の時間は消えます。

個人事業主にとって、その時間は仕事、営業、仕入れ、制作、休息などに使える資源です。

だから判断するときは、

「自分でやれば無料か?」ではなく、「自分でやれば何時間かかるか?」

と考えた方がいい。

短時間で終わるなら自分でやる。

説明する方が面倒なら自分でやる。

将来役立つ技能なら自分で覚える。

一方で、移動だけで何時間も消える作業や、誰がやっても結果が変わらない単純作業なら、外へ出す価値があります。

金を節約することと、時間を安売りすることは別です。

最終的に手元へ何が残るのか。

個人事業では、そこから逆算して判断する方が現実的です。

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