生まれて間もない子馬を、地面に引き倒し、殴り、蹴る。
そんな信じがたい行為が、競走馬を育てる牧場のライブ配信映像に記録されていました。
2026年10月5日、北海道警は、北海道日高町の競走馬生産施設「浜本牧場」と40代の男性従業員を、動物愛護法違反の疑いで書類送検しました。
問題となったのは、同年3月13日に起きたとされる子馬への暴行です。
さらに衝撃的なのは、牧場側が当初、この行為を「しつけ」だと説明していたことです。
いったい、幼い馬に何が行われていたのでしょうか。そして、子馬はその後どうなったのでしょうか。
【動画】子馬を押さえつけ、殴る・蹴る――SNSで拡散された衝撃映像
※閲覧注意:以下には動物への暴力行為を含む、非常にショッキングな映像へのリンクがあります。
問題の映像は、馬房内の様子を映していた「仔馬カメラ」のライブ配信に由来するものです。
男性が子馬を押さえつけ、怒鳴り声を上げながら殴打するような場面が記録され、SNSで急速に拡散されました。
▼ 浜本牧場・子馬への暴行を記録したとされる証拠映像
出典:YouTube上の「浜本牧場」仔馬虐待事件・証拠動画②と題された第三者投稿。元の配信からの編集状況や現在の再生可否は独立確認できていません。
▼ 2026年3月に問題を告発したX投稿
浜本牧場の子馬への行為を問題視したSNS投稿2026年3月の告発投稿を見る
J-CASTニュースの3月17日付報道によると、映像には、男性が子馬を壁に押し付けたり、地面に倒して殴ったりする様子が記録されていました。
近くには母馬とみられる馬も映っていたと報じられています。
このような行為が、まだ十分に成長していない子馬に対して行われていたという事実は、極めて深刻です。
北海道警が牧場と従業員を書類送検――起訴を求める「厳重処分」
共同通信などの報道によると、北海道警は2026年10月5日、浜本牧場と40代の男性従業員を動物愛護法違反の疑いで書類送検しました。
容疑は、3月13日に牧場で飼育する子馬1頭に対し、殴る、蹴るなどの暴行を加え、虐待したというものです。
警察は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとされています。
書類送検は有罪判決を意味するものではありません。刑事責任については、今後の検察による判断や司法手続きが重要になります。
ただし、単なるSNS上の炎上では終わらず、警察が捜査を進め、刑事事件として送検する段階に至ったことは重く受け止める必要があります。
牧場側は当初「しつけ」と説明――その後、一転して謝罪
この事件で特に問題視されたのが、動画公開後の牧場側の説明でした。
J-CASTニュースや競馬情報サイトnetkeibaによると、牧場側は当初、人間の安全を確保するための「しつけ」だったという趣旨の説明をしていました。
もちろん、大型動物を扱う現場で、人間と馬の安全を確保する必要があること自体は理解できます。
しかし、その目的があれば何をしてもよいのでしょうか。
恐怖を与え、暴力によって従わせることが、本当に適切な飼養管理と呼べるのでしょうか。
問題が拡大すると、牧場側は3月17日、「仔馬カメラ」の公式Xを通じて謝罪文を公表しました。
その中では、自らの行為を不適切だったと認め、馬に恐怖とストレスを与えたことを謝罪しています。
さらに、しつけや管理という言葉で正当化できない行為だったという趣旨も示しました。
最初は「しつけ」と説明し、後になって正当化できないと認めた。この変化について、なぜ当初は問題ないと考えていたのか、どのような認識や管理体制があったのかが問われます。
農林水産省も動く――全国の関係団体に注意を呼びかけ
問題は一つの牧場にとどまりませんでした。
テレビ朝日やHTB北海道ニュースによると、農林水産省は全国の関係団体に対し、管理する馬の取り扱いについて注意するよう通知を出しています。
競走馬は人間の娯楽や産業を支える存在である以前に、痛みや恐怖を感じる生き物です。
馬の安全な管理と、暴力を伴わない適切な取り扱いを両立させることが、競馬産業全体に求められています。
子馬はどうなった? 紗栄子さんが母馬とともに保護
一方で、子馬のその後については救いとなる情報もあります。
実業家の紗栄子さんが運営する「NASU FARM VILLAGE」は、2026年3月23日、問題の子馬「バレンタイン」と母馬「アールヴヘイム」を迎える方針を公式サイトで発表しました。
当時は、信頼する牧場に預けながら、今後の受け入れに向けた準備を進めていると説明していました。
さらに、10月7日付の日刊スポーツは、紗栄子さんが母子馬を保護したことをあらためて報告したと伝えています。
同報道によると、保護後、警察の捜査の一環として法獣医学の専門家立ち会いによる身体検査が行われ、紗栄子さんは虐待によるものとみられる外傷が確認されたと明かしました。
つまり、問題は動画を見た人が不快に感じたというだけの話ではありません。子馬の身体にも傷が残っていた可能性が報告されているのです。
紗栄子さんは、1頭を保護するだけでなく、元の牧場に残る馬たちの環境についても考え、現地を繰り返し訪問していたといいます。
【ニュース動画】北海道文化放送が伝えた書類送検
2026年10月6日、北海道文化放送(UHB)は、牧場と従業員が動物愛護法違反の疑いで書類送検されたと報じました。
出典:UHB北海道文化放送/2026年10月6日報道
「しつけ」という言葉で、暴力を許してはいけない
今回の事件で最も考えなければならないのは、人間の支配下にある動物が、自分で環境を選ぶことができないという現実です。
子馬は、飼育する人間を選べません。嫌だからといって、自分の判断で別の牧場に移ることもできません。
だからこそ、動物を預かる人間には重い責任があります。
もちろん、今回の事件をもってすべての競走馬生産牧場を同じように評価することはできません。日々、馬の命と健康に真剣に向き合っている関係者もいます。
しかし、だからこそ、こうした問題を曖昧にしてはいけないはずです。
厳しい管理と暴力は別物です。安全のための指導と、恐怖による支配も同じではありません。
そして、SNSで映像が拡散されるまで、この問題が広く知られていなかったことについても考える必要があります。
動物自身が被害を言葉で訴えることはできません。現場で不適切な行為があったとき、それを発見し、記録し、是正する仕組みが必要です。
動画はあまりに痛ましいものです。しかし、記録が存在したからこそ社会的な問題となり、行政や警察が動く契機の一つになりました。
まとめ――子馬を守るために、何を変えるべきなのか
浜本牧場での子馬への行為をめぐっては、SNSでの映像拡散、牧場側の謝罪、農林水産省の通知を経て、2026年10月に書類送検という段階に至りました。
一方、問題となった子馬「バレンタイン」と母馬「アールヴヘイム」は、紗栄子さんらの働きかけで保護されています。
今後注目されるのは、刑事手続きの結果だけではありません。
牧場での飼養管理はどう改善されるのか。ほかの馬たちの安全はどう守られるのか。同じような行為を繰り返さないために、業界は何を変えるのか。
子馬が受けた苦痛を、なかったことにはできません。
「しつけ」という一言で片づけず、命を預かる責任とは何かを問い続ける必要があります。
参考資料・出典
- 共同通信/2026年10月6日・子馬虐待疑い書類送検
- UHB北海道文化放送/2026年10月6日・書類送検報道
- J-CASTニュース/2026年3月17日・暴行映像と牧場側の説明
- J-CASTニュース/2026年3月18日・牧場側の謝罪
- NASU FARM VILLAGE/2026年3月23日・母子馬の保護について
- 日刊スポーツ/2026年10月7日・紗栄子さんによる保護後の報告
※本記事は2026年10月11日時点の報道・公表情報に基づきます。書類送検は有罪確定を意味しません。動画は外部プラットフォーム上の投稿を参照・埋め込みしており、投稿の削除や公開設定の変更によって視聴できなくなる場合があります。



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