「AIで稼ぐ」講座のトラブル急増――SNS広告からWeb会議、高額契約へ…国民生活センターが注意喚起

AI講座トラブル急増を伝えるイメージ。SNS広告からWeb会議へ誘導され、高額な受講契約につながる流れをスマートフォン、オンライン説明会、契約書で表現。 副業・仕事

「AIを使って副業で稼ぐ」

「SNS運用を学べば仕事になる」

「未経験から数か月で収益化」

いまやSNSを開けば、こうした広告を見ない日の方が珍しくなってきました。

AIもSNSも、本当に仕事には使えます。

問題はそこではありません。

**SNS広告を入口に人を集め、Web会議へ誘導し、そこで数十万円、場合によっては100万円を超える講座契約を勧める。**

この形の消費者トラブルが増えています。

国民生活センターは2026年9月16日、AI講座やSNS運用講座などの「ビジネス講座」をめぐる相談について、新たな注意喚起を公表しました。

## ビジネス講座の相談は2025年度に3,551件

まず数字を見てみましょう。

PIO-NETに登録された「ビジネス講座」に関する相談件数は、次のように増えています。

| 年度 | 相談件数 |
|—|—:|
| 2020年度 | 1,169件 |
| 2021年度 | 1,831件 |
| 2022年度 | 2,106件 |
| 2023年度 | 2,510件 |
| 2024年度 | 2,682件 |
| 2025年度 | 3,551件 |
| 2026年度 | 1,121件※ |

※2026年度は7月31日まで。

2024年度の2,682件から2025年度は3,551件。

**1年間で約32%増えています。**

さらに2026年度は7月31日時点ですでに1,121件。前年同期は821件だったため、前年同期比では約37%増です。

一時的な流行とは言いにくい数字になっています。

## 「SNS広告を見て、そのまま購入」だけではなくなった

ここが今回の注意喚起で重要なところです。

以前は、

SNS広告を見る
↓
サイトへ移動する
↓
オンライン講座を購入する

という、いわゆる通信販売型の相談が中心でした。

ところが最近は、

SNS広告を見る
↓
LINEなどのメッセージアプリへ誘導
↓
無料説明会・個別相談などに申し込む
↓
ZoomなどのWeb会議へ参加
↓
その場で有料講座を勧められる

という流れが見られるようになっています。

広告だけを見て契約するのではありません。

**人と直接話す「クロージング」が途中に入るわけです。**

しかも国民生活センターには、「ビジネス講座の勧誘があることを知らされないままWeb会議へ接続した」という相談まで寄せられています。

無料相談だと思って参加したら、いつの間にか契約の話になっていた。

これはかなり話が違います。

## Web会議経由の契約は平均金額も高い

さらに注目すべきなのが契約金額です。

2025年度の平均契約購入金額は、

– 通信販売:約64万円
– 電話勧誘販売:約87万円

でした。

ここでいう電話勧誘販売には、Web会議での勧誘も含まれています。

2024年度にいたっては、電話勧誘販売の平均契約購入金額は**99万円**でした。

「AI講座なんて数万円くらいだろう」

と思っていると、話が全く違います。

国民生活センターが紹介している事例には、Web会議で説明を受け、**総額100万円を超えるクレジット契約を組んでAI講座を契約した**ケースもあります。

月々の支払いを小さく見せれば、

「月2万円なら払える」

と思ってしまうかもしれません。

しかし24回なら48万円。

36回なら72万円です。

見るべき数字は「月額」ではありません。

**最終的にいくら払うのか。**

ここです。

## 「AIを学ぶこと」と「AI講座に100万円払うこと」は別の話

ここは切り分ける必要があります。

AIを勉強すること自体に問題があるわけではありません。

ChatGPTなどの生成AIを業務で使える人材の需要はありますし、SNS運用も実際に企業や店舗が外注している仕事です。

リスキリング自体も悪いものではありません。

しかし、

**需要がある分野だから、高額講座にも価値がある**

とはなりません。

例えばAIなら、月額数千円程度のサービスを実際に使いながら、無料の公式資料や動画、書籍などを組み合わせて相当な範囲まで学べます。

SNS運用も同じです。

まず自分でアカウントを運用する。

記事を書く。

画像を作る。

アクセス数やクリック率を確認する。

小さく実践するだけでも大量のことが分かります。

それを一切せず、

「講座に入れば稼げるようになる」

と考えて何十万円も払うのであれば、かなり危険です。

講座を買っただけでは、売上は1円も発生しません。

## 国民生活センターに寄せられた実際の相談

公表された代表的な相談には、次のようなものがあります。

SNS広告から説明会へ進み、オンラインAI講座を契約したものの、実際の講座内容が期待した水準ではなかった。

Web会議で説明を受け、100万円を超えるクレジットを組んでAI講座を契約したが、支払いが困難になった。

SNS広告をきっかけに副業スクールを契約したところ、契約後になって厳しい解約条件があることを知った。

共通しているのは、

**契約する前に見えていたものと、契約した後の現実に差があることです。**

広告を見る段階では、

「稼げそう」

「自分にもできそう」

「AIなら将来性がありそう」

という部分が前面に出ます。

一方で、本当に重要なのは、

何を教えてくれるのか。

総額はいくらなのか。

何か月契約なのか。

途中でやめられるのか。

返金条件はどうなっているのか。

受講すれば本当に仕事を獲得できるのか。

この部分です。

## Zoomで契約したから「ネット通販」とは限らない

もう一つ重要なのが、特定商取引法です。

「ネット上で契約したのだから通信販売だろう」

と思うかもしれません。

ところが、Web会議を使った勧誘については、一定の場合に**電話勧誘販売**に該当する可能性があります。

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、インターネット回線を利用した通話方式について、映像を伴うWeb会議ツールも「電話」に該当すると説明しています。

例えば事業者側がWeb会議のURLを送り、そこで契約を勧誘する形などです。

電話勧誘販売に該当する契約であれば、法律で定められた書面を受け取った日から原則8日以内は、書面または電磁的記録でクーリング・オフできる制度があります。

一方、通常の通信販売には原則として同じクーリング・オフ制度はありません。

つまり、

**どのような流れで契約したのかによって、使える制度が変わる可能性があります。**

「もう契約してしまったから仕方ない」と自分だけで判断しない方がいいでしょう。

## AI講座を契約する前に最低限確認したい5項目

高額なビジネス講座を検討するなら、最低でも次は確認しておくべきです。

**1.総支払額**

「月々○万円」ではなく、最終的に支払う金額を確認する。

**2.具体的な講座内容**

「AIを学べる」「SNSで稼げる」では情報として弱すぎます。

どのツールを使い、何を作り、どのレベルまで学ぶのか。

ここまで確認します。

**3.解約条件**

途中解約できるのか。

返金されるのか。

違約金はあるのか。

契約する前に確認します。

**4.仕事を獲得できる根拠**

「案件獲得サポート」と「仕事を紹介してもらえる」は全く違います。

営業方法を教えるだけなのか、実際に案件を紹介するのか。

区別が必要です。

**5.その場で契約しない**

これが一番簡単です。

数十万円を払う契約なら、一晩考えても何も困りません。

「今日だけ」

「このZoom中だけ」

「今申し込めば割引」

と急かされたのであれば、むしろ一度離れた方がいいでしょう。

国民生活センターも、高額な講座を突然勧められたり説明が不十分だったりする場合には、きっぱり断るよう呼びかけています。

## 「AIで稼げる」は、いま最も売りやすい言葉の一つになった

少し前なら、

「ブログで稼ぐ」

「せどりで稼ぐ」

「FXで稼ぐ」

「SNSで稼ぐ」

でした。

今そこへ、

**「AIで稼ぐ」**

が加わっています。

AIは実際に急速に普及しています。

だからこそ言葉に説得力があります。

「これからAIを使えない人は取り残される」

と言われれば不安にもなるでしょう。

しかし、その不安と、

「だからこの80万円の講座を買うべきだ」

という結論の間には、大きな飛躍があります。

必要なのはAIを学ぶことです。

高額講座を買うことではありません。

## 150円から月額8,999円? AIサービスのサブスク問題も出始めている

AIをめぐる消費者問題は講座だけではありません。

2026年9月17日には、「150円」で利用できると思ってAI文字起こしサービスを使用したところ、7日後に月額8,999円のサブスクリプション契約へ移行していた、という個人の体験を扱った記事も公開されています。

ただし、こちらについては現時点で国民生活センターなどが特定サービスについて違法性や被害を認定したものではありません。

そのため、サービス名を挙げて「詐欺」と断定する段階ではないでしょう。

こちらは今後の行政機関の注意喚起や相談件数、事業者側の説明などを確認したうえで、別の記事として追います。

## 困ったら188へ相談する

すでに契約してしまい、

「説明と内容が違う」

「解約できないと言われた」

「高額なクレジットを組んでしまった」

「Web会議で突然契約を迫られた」

という場合は、一人で事業者とやり取りし続ける必要はありません。

消費者ホットライン**188(いやや!)**へ電話すると、地域の消費生活センターなどにつながります。

特にWeb会議を経由した契約では、電話勧誘販売に該当するかどうかによって対応が変わる可能性があります。

契約画面、広告、LINEなどのメッセージ、メール、契約書、決済履歴などは削除せず残しておいた方がいいでしょう。

## AIは使うもの。AIという言葉に金を払うものではない

AIもSNSも、これから仕事で使う場面は増えていくでしょう。

だから勉強する。

ここまではいい。

しかし、

「AIだから将来性がある」

「副業だから元が取れる」

「スキルが身につけば回収できる」

この言葉だけで50万円、80万円、100万円という契約を正当化するのは無理があります。

まず自分で触る。

小さく実践する。

本当に必要な知識が何なのか確認する。

その後で必要なら金を払う。

順番はこれです。

**学ぶために金を払うのではなく、無料や低額では埋められない具体的な不足部分にだけ金を払う。**

副業で手元のお金を増やしたい人が、始める前に数十万円の借金を背負っていては本末転倒です。

AIブームが続くほど、「AIを教えるビジネス」も増えます。

だからこそ、AIを学ぶ能力と同じくらい、

**AIという看板を使った高額商品を見極める能力も必要になっています。**

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